電脳仕事に良いらしいJINS PCという眼鏡をつくりに吉祥寺にでかけ、そのついでにリンツのショコラカフェに行ってきた。ご存じの方も多いと思うが私はチョコレートが大好きである。たぶん前世がカカオ豆だったんだと思う。今回も眼鏡購入にかこつけてワクワクテカテカしながら店舗に滑り込んだ。
店内は清潔で明るく、なかなかに広い。客は基本的に女性で私が入店した時は、カップルが1組いたがそれ以外はすべて妙齢の女性であった。まあ、そんなことに気後れする私ではない。にこやかにさわやかにアイスチョコレートドリンク650円をオーダーした。パフェみたいなのもあったがここはぐっと我慢である。
テーブル席を確保し、姿勢を正してアイスチョコレートドリンクをいただく。おいしい。さすがに良いチョコレートを使っている。永遠に吸い続けていたい。
そんな私の隣にはマックのノートブックを広げたうら若き女性がなにやら難しそうな顔をしてディスプレイをにらんでいる。お仕事ですかご苦労様です。あれですか、最近はやりのノマドというやつですか。私はチョコレートを楽しんでいる人畜無害なおっさんですのでどうぞ気にせずお仕事に励んで下さい。私は再びチョコレートドリンクに向き合う。隣席の女性は軽やかにキーボードを叩く。カタカタカタ、ターン、カタカタカタ、ターン!、カタカタカタカタ、ターーン!
カタカタカタ、ターーン!、カタカタカタ、ターーン!、カタカタカタ、ターーーン!
おっさんの気のせいかもしれないけれど、エンターキーを叩くときにずいぶん力が入っていますね。
カタカタカタ、ターーン!、カタカタカタ、ターーン!、カタカタカタ、ターーーン!
そのうち、「ターン!」が来るのを待ち構えるようになり、チョコレートへの集中力が途切れてしまった。カップの縁についたチョコレートをストローで集める。その間も隣では「ターン!」が続いている。「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」とは思ったが、踏ん張ったところで何が得られるわけでなく、私はむなしい独り相撲を切り上げることにした。店を出た私は、「ターン!のたびにビクンビクン反応してやれば良かった」と唇を噛んだ。