住民税の通知が来た。
届いた封筒を開け、何かの間違いではないかと思った。
それからひと月ほどして、今度は国民健康保険の通知が来た。
この国はどうなっているのかと私は天を仰いだ。
ふたつの通知に目を戻し、大きく呼吸をする。
何かしら防衛策を講じなければ、我が家の生活が危ない。
翻訳者の収入は毎年大きく変動する。調子よく受注し、順調に売上が伸びている、というときほど気をつけなければ行けない。翌年、上述したように税金や国保でがっぽり持って行かれるからだ。その際、前年と同じ収入があるとは限らない。
どうにかして状況を好転させる必要がある。翻訳業は仕入れもなければ、経費も大してかからないので、節税するといってもできることは限られているが、それでも知人にアドバイスをいただいたり、自分の収支状況を見直したりして、小規模企業共済と住宅ローンの借り換えに取り組むことにした。
小規模企業共済
小規模企業共済は、自分で積み立てる退職金のようなものだ。自分で決めた額を毎月積み立て、個人事業主をやめた時に掛金プラスアルファを受け取ることができる。この制度の魅力は掛金が全額控除の対象になるところだ。節税しつつ貯金をすることができる。
毎月決まった額を積み立てるというは、負担になりそうでちょっと心配だが、掛金の額は随時変更可能なので、とりあえず少額から始めることにした。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンの借り換えは、少し前から検討していた。私が現在の住宅ローン(フラット35)を組んだのは8年ほど前だが、当時と比べると金利は大きく下がっている。2.46%(これでもずいぶん低いと思った)だった金利が、今(2017年7月)では1.09%である。これまでに返済してきたことで元金も減っているため、借り換えをすると月額2万円ほど返済額が安くなる計算になった。
借り換えでは、金融機関に事務手数料を支払う必要もあるので、そこは気をつけないといけないが、今回の借り換えでは手数料を加算しても大幅な負担減が期待できる。いくつか金融機関を比較して、私は楽天銀行の住宅ローンを利用することにした。ちなみに借り換え前の金融機関はアルヒである。
金融機関選択時の注意点
さて、楽天銀行を選んだのは、手数料が0.972%と格安だったためだが、いろいろ手続きをしているうちに、アルヒでも良かったかな、と思うことがあった。
これはあくまで私の場合だが、前回住宅ローンの手続きをしたのがアルヒなので、同社で手続きしていれば、新たに提出する書類が少なくて済む。法務局で土地や建物の書類を取ったり、税務署に納税証明の発行を申請したり、住宅ローンでは提出しなければならない書類が多い。この手間が軽減できるのは魅力的である。
加えて、抵当権抹消の手続きの問題がある。借り換えではいったん全額を返済し、新たに借入を行うため、土地と建物に対する抵当権抹消の手続きを行う必要がある。これは司法書士が行うが、借り換えの融資当日に金融機関に書類を取りに行く必要があり、そのあたりの段取りを決めなければならない。当然、司法書士の手数料も発生する。同じ金融機関内での借り換えなら、このあたりが簡素化できるので、こちらの負担は大幅に減る。
アルヒの手数料はウェブ経由で申し込めば1%である。楽天銀行とさほど変わらず(フラット35なので、金利はどの金融機関で借りてもだいたい同じ)、上記の書類がらみの準備の煩雑さと抵当権抹消の手続きのことを考えると、楽天銀行にそれほどメリットがあるとも思えない。
加えて、アルヒは返済に使用する銀行の口座を自由に指定できるが、楽天銀行は同行で口座を開く必要がある(他行の口座を指定すると金利が上がる)。このあたりも意見が分かれるところだろう。
効果を検証
上記の注意点はとりあえず横に置き、今回の取り組みでどれくらいの効果が上げられるか検証しよう。
まず小規模企業共済だが、実感してください、「小規模企業共済」の節税効果!にあるように、課税所得金額が500万円の場合、掛金を月2万円にすると7万3000円の節税効果がある。
住宅ローンの借り換えでは、これまで月10万円台だった返済額が、月8万円台になり、月額で約2万円、年間で20万円ほどの節約になった。
こうして2つの角度から取り組みを進め、節約以外に良かったなと思うことは自分の収支を見つめ直す機会を持てたことだ。毎年、青色申告を行っているので自分の経済状況については把握しているつもりだったが、実際のところは数字を眺めていただけで、何もしてこなかったことがよく分かった。この2つの取り組みはもっと早く始めていてもよかったし、ふるさと納税などほかにもできることはある。仕事にきちんと取り組むのは当たり前だが、その成果である収入をもっと効果的に使わなければと反省した。
追記
楽天銀行を利用しようという方は、楽天ポイントがもらえるキャンペーンへのお申し込みをお忘れなく。2017年7月現在、同行の住宅ローンを利用すると10000ポイントもらえるキャンペーンがあります。私は例によって手続き後に気づきました。くやしい。
わたしは仮想通貨をやっています。
仮想通貨、興味があってアカウントを作りはしたのですが、乱高下を見ているうちに圧倒されて手を出せないままになっています。
少し勉強しようかな……。