ベランダで太陽光発電をするためのキットを購入した。ソーラーパネル→充電コントローラ→バッテリー→インバータという具合に接続するだけで使えるようになる。停電時に照明とちょっとした家電(これからの季節なら扇風機とか)を動かすくらいなら十分な容量だし、天気の良い日なら昼間ノートパソコンの電源として使えるだろう(デスクトップはいきなり落ちると悲しいからやめておく)。パネルを設置するための架台を手作りしたため、なんだかいろいろ手間取ったが、ホームセンターと家を何度も往復して完成にこぎ着けた。
架台にはバッテリ(重量30kg)の入ったケースが重しがわりに固定されてるため、多少風が吹いたくらいで飛んだりはしない。これまであまり使っていなかった西向きの小さいベランダに設置しているが、今の季節なら11:00~16:00くらいまでしっかり日が当たる。トータルで15万円くらいかかったが、本格的なソーラーシステムは200万円くらいするようなので、それを考えると安いものである。
このキットを導入することにしたのは、もちろん計画停電と福島の原発事故のためである。我が家も何度か停電を経験したが、18:30~22:00の停電ではとても心細い思いをした。1歳の息子は、ろうそくやLEDの照明に興奮気味だったが、そのうちいつもと様子が違うことに気がついたのかやたらぐずった。私たちは多少不自由でもなんとかなるが、彼にはあまり不安な思いはさせたくない。せめて明かりだけは確保しておきたかった。
仕事も大きく影響を受けた。停電中はインターネットへの接続ができないので、調べ物の効率が落ちるし、訳文が仕上がってもメールで納品することができない。納期が正午でも9:30~13:00まで停電となると、9時には納品しなければならない。午前中に最終チェックをしてから納品しようと思っていてもできないので、結局前日深夜まで作業して仕上げた。1日、2日ならなんとかなるが、あれが続いたらけっこうしんどかったと思う。
こうした不安や不便をなんとかしたかったのに加えて、原発の事故で福島県が大きな被害を受け、それが遠くで電気を使っている自分とつながっているという現実を少しでも変えたいという気持ちもあった。現時点では原発は必要かもしれない。地方で電気を作って東京に送るという構造は、これからも変わらないだろう。だが、地方の人間に負担を押しつけ、都会の人間が景気よく電気を使って快適に暮らすという図式は、工夫すれば少しは変えられるかもしれない。太陽光発電と蓄電のシステムが家庭に普及すれば、かなりの電力をまかなえるはずだ。今回導入したキットは、おもちゃみたいなものだがこれをはじめの一歩にして独立電源を強化していきたい。