このところグランド・マスターやパシフィック・リムといった大味の作品を立て続けに鑑賞し、箸休めに舟を編むを借りてきたのですが、これが一番の当たりでした。まだご覧になっていない方はぜひ。
見出し語24万語の辞書を一から作り始めるお話しで、用例集めや見出し語の選定などの作業の流れが分かりやすく紹介されていてテレビにかぶりついてみました。私は原作をまだ読んでいないのですが、辞書を編む(飯間 浩明)や博士と狂人など辞書づくりの話はいくつか読んでいたので、作業の様子を映像で見ることができて「おおこんな感じなのか」とちょっと感動しました。北辞郎のようにいつでも編集可能なオンラインの辞書は用例集めと辞書への登録が同時のようなものですし、登録する単語にほぼ制限が無く、間違いがあっても後から直せますが、紙の辞書ではもちろんそういう訳にはいかず、主人公たちが缶詰状態でチェック作業をしている様子を見、その室内に漂っているであろうニオイを想像して目眩を覚えた次第です。
俳優陣は、松田龍平の挙動不審っぷりが素晴らしいですね。宮崎あおいの男前な感じも実に良かったです。辞書づくりを題材に小説や映画を作るのって大丈夫なの?えんえんと編集作業しててものすごく地味なことになりそう、といらぬ心配をしましたが、2人の恋愛話などがいいアクセントになっていて、最後までダレることなく見ることができました。