坂本龍馬の伝説はウソだらけ 「幕末に大活躍」は間違いだったという日経ビジネスの記事を読みました。実に面白かったです。面白かったですが、私が取り上げるのは例によって漢字のことです。この記事のはじめの方に「司馬遼太郎(しばりょうたろう/遼は、正しくはしんにょうの上部分が『 ゛』。以下同)」とあったので脊髄反射でキーボードを叩きはじめております。
遼の字のしんにょうに点が足りない、パソコンでは「二点しんにょう(辶)」の遼は打てないのか、21世紀になって20年も経っているのになんということだ、そう嘆かれているみなさま、ご安心ください。入力は可能です。どうぞっ。「遼」。せっかくだからもっと大きく。
一点しんにょうの「遼」、二点しんにょう「遼」は、それぞれUnicodeコードポイントを持っています。「遼」がU+907c、「遼」がU+f9c3です。これさえ分かっていれば、ワードにコードポイントを入力し、その直後で Alt+X を押すと漢字に変換できます。
コードポイントが分からない、調べたいという時は、GlyphWikiで検索するのがおすすめです。先ほどの二点しんにょうの「遼」であれば、GlyphWikiの検索窓に一点しんにょうの「遼」を入力し、表示ボタンを押すとズラズラと漢字が表示されます。二点しんにょうの「遼」を探し、アイコンをクリックすると(右側にuから始まるコードポイントが書かれているアイコンを探します)詳細な情報が表示されますので、テキスト表示されたものをコピペしてもいいですし1、コードポイントをメモしてもいいでしょう。頻繁に入力するのであれば、IMEへ登録します。
日経ビジネスのサイトも文字コードはUTF-8なので、そろそろこういう漢字はちゃんと表示するように方針を変更して欲しいところですね。新聞社でも中国の人名や地名を紹介する際、よく「●はにんべんに炎」のような書き方をしていますが、もうやめていいんじゃないかと思います。ダメでしょうか?
関連:「つじ」の「しんにょう」は1点? 2点? | 毎日ことば
- 「あなたのブラウザでの表示」というところ [↩]
こんにちは。いつも投稿を楽しく拝見しています。
「●はにんべんに炎」という回りくどい書き方は、新聞社が記事を書くために使う専用のソフトがUnicodeに対応していないところに起因するかと思います。私もそんな業界で働いているのですが、こうしたソフトは外部に情報が漏れないよう各社毎にセキュリティーの高い専用のソフトを使っていて、それ故にアップデートもお金がかかるようです。そのため社によってはソフトが全く進化しておらず、特に文字コードの部分は数十年前のまま取り残されていて、泣く泣く「●はにんべんに炎」なんて書く……という事情を抱えています。
日本人の名前もそうですが、私は担当柄、中国の地名や人名を書くことも多く、これが大変不便です。せめて記事をWEB掲載する際にきちんとした文字に置き換えられればいいんですが(そんな簡単なことも)テレビ局や新聞社といった大きめの会社では簡単ではないようです(^^;)。
なるほどそういう事情があるのですね!業界の内部事情をご教示いただき、ありがとうございます。そうした側面があるとはまったく想像していなかったため、驚くとともに大いに納得いたしました。
ちょっとソフトを入れ替えて対応完了、とはいかないようですが、人名や地名に関係する部分は記事を書く立場のみなさんも不便だと思いますので、一日も早く問題が解消されることを願っております。