私は小心な人間なので、ちょっとしたことで慌てふためき、頭を抱え、ドタバタと身悶えする。
昨夜も「嗚呼、なんということだ。あれとあれを忘れるなんて」とひとしきりうろたえた後、うろたえることをどうして「狼狽」というんだろう、という疑問が頭に浮かんだ。こういうときは眼前の問題を棚上げにし、まずは百度さんに聞いてみることが肝要(現実逃避)。
百度百科の狼狈には次のようにありました。
唐 段成式 《酉阳杂俎·毛篇》:“或言狼狈是两物,狈前足绝短,每行常驾两狼,失狼则不能动,故世言事乖者称狼狈。”
狼狈(汉语词语)_百度百科
「狼と狽は別々の動物で、狽は前足が極端に短く、いつも狼につかまるようにして移動する。狼がいないと身動きできないことから、物事が思うようにいかないことを狼狽というようになった」くらいでしょうか。Wikipediaによれば酉陽雑俎は、「中国の唐代に荒唐無稽な怪異記事を集録した書物」とのことですので、狼も狽も想像上の化け物かと思いきや、どうやら狽は前足の短い奇形の狼を指すようです。足の不自由な兄弟を背負いながら山野を行く健気な狼の姿が目に浮かび、どちらかというと応援したくなります。うーむ、この狼と狽から「狼狽」という言葉が生まれたのか。なんかちょっとイメージしていたのと違って後味が悪い……。
とりあえず疑問が解消してしまったので、私はあらためて狼狽することにします。ごきげんよう。
関連:《漢字樹3:與動植物相關的漢字》從漢字,看見古人觀察自然的智慧(こちらの「狼與狽確定是兩種不同的動物嗎?」が参考になります)