妻と子どもが新宿に出かけ、仕事が片付かない私は家で机に向かう。キーボードをパタパタやって、眉間にしわを寄せたり、頭をブルブル振ってみたり(良い訳文が転げ出るかなと思いまして)、ひとり静かに放屁したりしているうちに時刻は12:00。ランチタイムである。
今日も調布は猛暑日。がっつりスタミナをつけたい気もするが、暑さに疲れた体はざるそばなどをツルツルしたいと訴えもする。心と体の分離状態。夏の食事は悩ましい。
だが、私は迷わない。なぜならこの2つのリクエストを同時に満たすすべを知っているからである。
がっつりもさっぱりも欲しいときは、さか本に行けばいいのだ。昼のサービスメニューがカツ丼セット、焼き肉丼セット、ネギトロ丼セット、うな丼セットなど豊富に揃っていて、それぞれ「もり」か「かけ」のそばを付けることができる(うどんもOK)。小ぶりの丼に盛られた焼き肉丼をワシワシとかき込み、あいまに手打ちそばをツルツルとすする。味に特筆すべきところはない。奇をてらわない美味さ。誰が食べても文句を言わない味。料理が運ばれてきてから、最後のそば湯を飲むまで私は無心になる。先ほどまで頭を占有していた仕事のことは忘れ、目の前の丼とそばとひたすら格闘するのである。
食べ終わったらさっさと席を立つ。今日も家族連れや近所の年寄り、職人風の若者など多様な客で店は賑わっている。いつまでも席を占有していてはならない。
近所に良い店がある、というのは幸せなことである。