NHKのニュースにSMAPが出てきて、子どもに「この人たちどうしたの?」と聞かれた。「ケンカに負けてごめんなさいしてる」と答えたが、実に気分が悪かった。
彼らはアイドルである。アイドルの定義はいろいろあるだろうが、ここでは仮に「日常を忘れるくらい楽しい気分にさせてくれる人たち」としておく。そういう人たちが、本来であれば表に出すべきでない生々しい大人の都合を衆人の目にさらしている。そういう現実は、生きていればそのへんに転がっているが、アイドルというのはそういう現実を忘れさせるために存在するのではないのだろうか。
かつてレミー・キルミスターは、リトル・リチャードのことを「南部出身の黒人で、おかまで、ロックンロールを歌うなんて」と賞賛していた。背中にどんなものを負っていても、そんなものをみじんも感じさせずに我々に熱狂をもたらしてくれる。スターにはそういうものを期待してしまう。黒いスーツに身を包み、雨に濡れたカラスみたいになっている人たちに、再びそれを期待しろというのか。こちらへの要求が高すぎないか。