某社で中国関係の業務を担当しているA氏に社長が声をかけた。
「今度、中国の工場に行く件でちょっと相談なんだが、せっかくだから現地の従業員に中国語であいさつしようと思ってね。忙しいところ悪いんだが、この日本語を中国語に翻訳して中国語の読みをカタカナで下に書いてくれないか」
A氏は、ピンインと声調を覚えて発音の練習しないとカタカナ読みでは通じないですよ、と出かかった言葉を飲み込み、「なるほど、現地の従業員も喜びますね。それでは一両日中に用意してお届けします」と返事をした。波風を立てない大人の対応である。
社長はA氏の肩をポンと叩き、じゃあよろしくと背を向ける。A氏は軽く会釈をして渡された原稿を広げ、面倒なことを頼まれたなと溜息をついた。
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ということで、今回はこのA氏の手助けをしようと思う。翻訳については素晴らしい中国語訳が完成しているという前提で、その中国語をカタカナに変換する。使う道具はPinconvで、段取りとしては中国語→簡易ピンイン→カタカナの順に変換を行う。拼音→pin1yin1→ピンインというかたちだ。
中国語を簡易ピンインに変換するデータファイルは、Pinconvですでに実現されているため、簡易ピンインをカタカナにするための変換データを新たに作成する。
ピンインをカタカナに変換するためのデータファイルはこちらに用意した。ZIPファイルの中身は「ピンカナ.txt」というテキストファイルで1、簡易ピンインとカタカナがペアになったタブ区切りファイルである。カタカナ部分に関しては作者の感覚で入力しているため、適当でないデータもあるかもしれないが、それらについては利用者自身が適宜修正されたい。
データファイルのダウンロード:pinkana.zip
ファイルをダウンロードできたら、Pinconvの「変換メニュー」から「データファイルの新規作成」を実行する。
ダイアログが表示されるので、ピンインをカタカナに変換するためのデータファイル(ピンカナ.txt)を選択した上で、新しい変換ファイルの名前を入力し、オプションを選択する。ダイアログ下部のOKを押すと登録処理が行われ、変換ファイルの設定画面が表示される。今回は特に設定を行う必要はないのでダイアログを閉じる。
以上でピンインをカタカナにする変換データができたので実際に使ってみよう。
発音のカタカナ表記の気に入らない部分を直したい場合は、先ほどの「ピンカナ.txt」を直接編集して再度インポートしても良いし、「編集」メニューの「変換データの編集」から修正することもできる。ぜひ自分好みにカスタマイズしていただきたい。
A氏のところの社長も、これでスマートにあいさつできる……かもしれない。
- 本ファイルのライセンスはGFDLとする [↩]